P.72,73 アンカーによる掛かり釣り

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アンカーが海底にとどく範囲で、一本アンカー又は、二本アンカーで掛かり釣りをします。

1.基本的な掛かり釣りの場合のアンカーの打ち方
掛かり釣りのアンカーの打ち方は、一昼夜、停泊させる場合のアンカーリングとは異なります。フィッシングの場合は、しばらく釣りをした後、場所を移動するケースが多く、少しでも船が流されたら気付くように船をアンカーリングすることが必要となります。

 

実際にアンカーを打つ場合、基本的には潮上側に打ちます。潮流の方向と風の方向が異なり、船が流されることに対して風の影響が強い場合などは、しばらく船を止め、流される方向を確認してから釣るポイントに仕掛けが下りる所まで船を移動して打つという方法がありますが、このような場合には、潮上側に一本、風上側に一本と、二本アンカーを打たないとポイントの上に船を維持することは困難になります。次にアンカーの形状と重さ、ロープの長さと太さに関してですが、しばらく釣っては場所を移動することや、潮の流れがある場所での釣りを考え合わせると、作業労力の点ではアンカーが軽く、ロープは短く、潮流を受けて抵抗が少ない細いロープを使用したいものです。さらに、下記のような条件を満たす物を選べばベストです。

アンカーに関しては
海底の底質(砂泥、岩礁)により形状を選び、少なくとも一昼夜の停泊時に使用するアンカー重量より軽量なもので良いと思います。しかし、掛かり釣りの場合は、アンカー自体の重さだけでなく海底の底質に合った形状であることが重要なポイントになります。底質が良好な砂泥地などの場合は、しっかりと食い込んでいれば重さよりも形状で食い込むのであり、逆に石などが多く浅くしか食い込まない場所などにはアンカーの面積と重量が大きく影響します。掛かり釣りのアンカーに関しては、底質と形状が最も重要であり、それさえ適合すれば軽いアンカーが最適です。

ロープの長さに関しては
一昼夜の停泊時には水深の4〜5倍程度の長さが安全ですが、釣りの場合は3〜4倍程度でも良いと考えます。しかし、波浪に対して最も影響するのがロープの長さなので、波浪がある時は長く出すかチェーンを長くするということを心掛けてほしいものです。

ロープの太さに関しては
潮流の影響を最も受けるので、より細い方が良いのですが、船体重量(排水量)の1/2以上の強度を持つロープの太さは必要です。小さな船で強度の心配がない船でも、最低φ8㎜程度の太さがあった方が、手触りが良く取り扱いやすいです。

アンカーチェーンに関しては
アンカーは海底と平行に寝かせて引っ張ることで海底に食い込ませるものであるため、チェーンはアンカーの効率を上げる重要な役割をしています。

重いアンカーを使用することより、チェーンを利用してアンカーを引く角度を良くした方が効率は上がります。

2.アンカーによる船の掛け方(釣り方)
アンカーによる掛かり釣りは、固定物(イカダ、定置網等)のかわりに自船でアンカーを打って釣りをするポイントに仕掛けを下ろすことになるので、海の状況をしっかりと把握してアンカーを打たないと何回もやり直したり、ポイントから大きくはずれてしまったりします。掛け方を十分理解して自船に合ったアンカーによる掛かり釣りを経験していくことが釣果を上げる最大のコツです。

ボートフィッシングにおいて、海上の固定物(イカダ、定置網等)に船を掛けて釣りをすれば船は固定され、エンジンも止められるので余裕をもって釣ることだけに専念できます。しかし海上の固定物に船を掛けると一口にいっても、波浪の状況、風の強さと方向、潮流の速さと方向などをよく考慮に入れて適切な方法と場所に船を掛けなければ釣りにならない場合も多くあります。

海が下記のような時はアンカーによる掛かり釣りはできません。
風が強く、波浪が高い時。潮流が激しい時。風下、潮下に障害物や浅瀬がまじかにある場所。
船舶の航路内や航行の妨げになる場所。
流し釣り、他の漁労中の船舶の邪魔になる場所。など

基本的なアンカーによる船の掛け方
一本アンカーで掛ける場合
風がない場合、風と潮流が同じ方向の場合、通常一本アンカーで船を掛けます。

二本アンカーで掛ける場合
風と潮流の方向が異なり、船の位置が安定しない場合、二本アンカーで船を掛けます。

船首を潮上側に掛けることが基本である理由は、船の船首方向から流れを受けたほうが、圧流抵抗が小さく揺れが少なく安定し、さらに仕掛けは潮下に流れるので船尾両舷からの釣りがやりやすいためです。

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