救命用シーアンカーと操業用パラシュート型アンカーの違い

救命用シーアンカーと操業用パラシュート型アンカーの違い
近年シーアンカーと言うと釣りをする時に使用する操業用パラシュート型アンカーのことをさす人が多く、さらには同じものを荒天非常時に救命用として使用できると考えている人が多いようです。たしかにパラシュート型のシーアンカーは、荒天非常時に最も効果があるタイプとして認識され、中大型沿岸漁船の世界では、使用標準に関する研究が行なわれ、その大きさ、形状が決定され普及しているタイプがあります。しかし、小型船舶であるプレジャーボートに適するものは残念ながらないのが現状であり、ボートが使用する操業用パラシュート型アンカーは、第3章(P98)で説明した通り、船舶が操業できる天候状況での使用範囲で抵抗体(パラシュート)が水の抵抗を受け、ボートの流れ具合を制御することを目的とし、大きさ、形状、強度などを考え作られているため、操業用として選んだものを荒天非常用として使用することは不適切であると考えます。もし、荒天非常時に使用した場合には、大きな抵抗を受けることになるため、船体を破損させたり、曳き索を切断する原因につながり、二次災害を起こすことになりかねませんので、絶対に使用を避けてください。

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